【ココロもカラダも温まる♪】茶碗蒸し【第一回:基礎知識】
四季折々の具材を楽しむこともできる「茶碗蒸し」は和食の中でも人気のある料理です。
第一回は「茶碗蒸しの基礎知識」をご紹介します。
1月にご紹介するのは「茶碗蒸し」。
自宅で作るのは少しだけ面倒・・・なんて思っていませんか?
実はとっても簡単!
第一回は「茶碗蒸しの基礎知識」をお届けします。
■「茶碗蒸し」のルーツ
「茶碗蒸し」の起源は1689年の江戸時代まで遡ります。
当時、長崎では中国やオランダとの交易が盛んでした。
その中で生まれた「卓袱料理(しっぽくりょうり)」の中の一品が「茶碗蒸し」のルーツになったといわれています。
伊予松山の藩士であった吉田宗吉信武(よしだそうきちのぶたけ)は、長崎で始めて「茶碗蒸し」を食べて
「こんなに美味しい料理があったのか!」
と感動したのだそう。
その後、1866年(慶応2年)に「吉宗(よっそう)」という名前の「茶碗蒸し」と蒸し物専門の料理店を開業したということは、よほど美味しかったのでしょう。
いまも「吉宗(よっそう)」は長崎にありますので興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
■「卓袱料理(しっぽくりょうり)」とは?
さきほどお話に出た「卓袱料理(しっぽくりょうり)」。
「卓袱(しっぽく)」とは、中国で卓を覆う布として用いられた、テーブルクロスのこと。
1つの器に盛られた大皿料理をそれぞれが小皿に取り分けて食べるスタイルの長崎の郷土料理です。
鎖国時代に外国と国交があった長崎ならではの郷土料理ともいえます。
当時日本では一人一膳というスタイルで食事をしていましたので、円卓で好きなものを取り分けて食べるという形は斬新で衝撃的だったと思います。
また、和食 、中華 、洋食(主に 出島に商館を構えたオランダ)の要素が互いに交じり合っていることから、
和華蘭料理(わからんりょうり)ともいわれています。
※和(日本)、華(中華)、蘭(阿蘭陀)
内容は
お鰭(おヒレ)…鯛の「ヒレ」が入ったお吸い物。女将の「おヒレをどうぞ」という言葉で始まります。
小菜…刺身の盛り合わせやからすみ、伊達巻、豆料理などの冷菜
中鉢…天ぷらや「パスティラ」と呼ばれるポルトガル伝承のパイ料理など、温かい料理
大鉢…季節野菜の煮物など、日本の料理の盛り合わせ
水菓子…果物など
梅椀…お汁粉などの甘い物
「茶碗蒸し」は最初からいまの「茶碗蒸し」のようなものであったわけではなく、最初は「卵とじ(から蒸し)」でした。
次第に出汁の量が増えていき、現代に伝わる「茶碗蒸し」になったそうです。
■「茶碗蒸し」でカラダもお腹も満足
続いては「茶碗蒸し」の栄養面をみていきましょう。
メインの材料である卵には、ビタミンCと食物繊維を除く、さなざまな栄養素が含まれています。
具体的には、たんぱく質やビタミンD、ビタミンE、ビタミンKといったビタミン群、高血圧予防・改善に効果があるとされているレシチンなど。
そこに加える食材によって、更に豊富な栄養素が加わることになります。
そして低糖質かつ低カロリーの「茶碗蒸し」は、ダイエットにもおすすめの一品!
「茶碗蒸し」のカロリーは加える食材にもよりますが、基本的な材料(エビや鶏肉、しいたけなど)を含めても1人前100 kcal前後♪
気になる方は糖質の低い食材(エビやカニ、きのこ類)などをチョイスすれば更にヘルシーですよ♪
■「茶碗蒸し」を美味しく作るコツ
ここからは作り方についてお話していきます。
蒸し器が無いから作れない!
なんてことはありません。
早速チェックしていきましょう♪
<蒸し器>
まずは定番の蒸し器で作る方法。
覚えてしまえばとても簡単♪
1:強火で2分~3分
2:弱火で10分(大きさにより前後します)
3:火が入っていない場合は菜箸を外して蓋をきっちりと閉めてから弱火で2分〜3分蒸し、火を止めてそのまま3分待ち、余熱で蒸らすのがおすすめ。
出来上がったら器を斜めにして、濁った卵液が流れなければOK。
また、作る際のポイントとしては
〇卵を混ぜるとき、泡だて器などは使わないこと。なめらかな食感に仕上げるための一番のポイントです。
泡立て器で混ぜると空気が入って「す」が立つ原因になります。
〇蒸気が「茶碗蒸し」につかないように、器にアルミホイルをかぶせたり、蒸し器の蓋にタオルを使うのもおすすめ。
〇急激な温度の上昇は「す」が立ち、硬くなる原因にもなるので蓋に菜箸などをかませて、少しずらしておきましょう。
最初から弱火で長時間蒸しても「茶碗蒸し」は固まらないのでご注意を。
<電子レンジ>
電子レンジで「茶碗蒸し」を作る方法です。
1:ふんわりラップをかけ、200Wで5分程度加熱。
2:取り出して状態を確認し、火が通っていない場合は1分加熱。それでも火が通らない場合は、さらに1分加熱しましょう。
また、4個作る場合などは加熱ムラを防ぐために2個ずつ加熱するのがおすすめです。
ここでのポイントは2つ。
〇具材だけ最初に火を通すと尚安心(電子レンジで具材だけ加熱するのもOK)。
〇こまめに様子を見ながら追加して加熱すること。
ちょっと面倒だからと、一気に8分加熱・・・なんてやってしまうと硬くなったり「す」が立つので気を付けましょう!
<フライパンや鍋>
最後はフライパンや鍋を使った作り方です。
1:フライパンや鍋の底に布を敷き、1/3くらいの高さまで水を入れて強火にかけ、沸騰したら具材と卵液を入れてアルミホイルで蓋をした耐熱の器を入れ、菜箸をかませて蓋をする。
※鍋の「蒸し台」がある場合は布は不要です
2:加熱時間は蒸し器と同じです。強火で2分~3分蒸したら弱火で約10分蒸し、一度火を止めて器を取り出し、火の入り加減を確認しましょう。
3:火が入っていない場合は菜箸を外して蓋をきっちりと閉めてから弱火で2分〜3分蒸し、火を止めてそのまま3分待ち、余熱で蒸らすのがおすすめ。
ここでのポイントも2つ。
〇フライパンに布を敷くのは沸騰したお湯の泡で器がグラグラと揺れないようにするためです。忘れずに敷いておきましょう。
〇また、器が揺れるようだったら火が強すぎるため、少し弱めましょう。
いかがでしょうか。
どの方法でも美味しく作れますのでぜひお試しください。
次回は【ココロもカラダも温まる♪】茶碗蒸し【第二回:白だしやつゆで作ってみよう!】です。
失敗しない卵と出汁の黄金比についてもお届けします。
お楽しみに♪
加藤強さま
コメントありがとうございます!
ルーツは長崎っていうのがまた面白いですよね。
余談ですが、その後すぐに関西で「茶碗蒸し」が定番になっているそうです。関西人の「美味しさをキャッチするアンテナ」は素晴らしいな、と思いました♪