【ほっくり美味しい】第一回:里芋の基礎知識【万能食材】
煮物はもちろん、洋風レシピにも活躍する栄養満点の食材です。
第一回は「里芋の基礎知識」をお届けします。
12月にご紹介するのは「里芋」。
これからの季節に大活躍する食材ですね!
気になるレシピの前に、第一回は「里芋の基礎知識」をお届けします。
■日本人の主食だった「里芋」
「里芋」の原産地は、インド東部からマレーシアにかけての東南アジアといわれています。
少なくとも紀元前3000年頃にはインドで栽培されていたのだとか。
原始マライ民族の移動とともに太平洋一帯に広がり、現在でも「タロ(タロイモ)」として多くの民族・地域で重要な主食となっています。
日本へ伝わったのは縄文時代といわれており、米より先に主食とされていました。
■驚きの栄養素
「里芋」の見た目からは想像もできない驚きの栄養素についてご紹介します。
「里芋」といえば、あのネバネバが特徴。
このぬめりに含まれる成分は消化器官を保護し、脳細胞を活性化させて、免疫力を高める効果があると言われています。
胃の壁を守り、胃酸の過剰な刺激から保護する働きもあり、胃腸の健康をサポートする重要な役割を果たしています。
豊富に含まれる「食物繊維」の中でも、「里芋」に含まれる「ガラクタン」は、便通を改善するだけでなく、有害な物質を体外に排出するのにも一役買ってくれるというのをご存知でしょうか。
さらに「グルコマンナン」は(こちらも食物繊維!)血糖値の管理に活躍します。
糖の吸収が遅くなり、食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果があるからです。
また、この「グルコマンナン」は満腹感をもたらす効果も。
定期的に「里芋」を食べることは、腸内環境を整える助けになり、健康的なダイエットにもなりますね♪
ただし、「里芋」だけ大量に食べてもダイエットにはなりませんので、バランスよく食事をするのが大前提です。
そして、豊富に含まれるものとして忘れてはいけないのが「カリウム」。
「カリウム」は体内の塩分濃度を調整し、過剰な塩分を排出する手助けをしてくれます。
むくみ解消にもなりますし、高血圧の方にもおすすめの食材ですね!
■「里芋」の種類と旬
「里芋」の種類は200種類以上といわれています。
それらを大きく分類すると4種類。
今回はその中からほんの少しご紹介したいと思います。
1)子芋用品種
小さな子芋や孫芋がたくさん実り、主に日本などの温帯地方で育つ品種。
土垂(どだれ)・・・関東地方で多く栽培されている楕円形の「里芋」。一般的に私たちがよく目にする品種です。
旬の時期は10~12月。
石川早生(いしかわわせ)・・・小ぶりで煮崩れしないのが特徴。蒸して食べる「きぬかつぎ」などはこの品種。
収穫は8月~9月と少し早めです。
2)親芋用品種
大きくなった親芋を食べる品種。南太平洋などの亜熱帯・熱帯地方でよく育ちます。
京芋(きょういも)・・・九州の宮崎県で栽培されています。別名、竹の子芋。
京都で、とても美味しい「里芋」を使った精進料理を食べた関係者が「この京都料理にあやかりたい」という気持ちから「京芋」という名前を用いるようになったといわれています。
京野菜ではなかったのですね!
煮崩れしにくく、ホクホクとした食感が特徴。旬は11月~3月。
3)親子兼用品種
親芋・子芋の両方を食べる品種。
八つ頭・・・親芋のまわりに7〜8個の子芋がついて一塊になるという独特の形をしています。
ねばりが少なく、しっかりした食感でほんのりとした甘味が特徴。
旬は11~1月。
えび芋・・・京芋、唐芋の別名を持つ品種。ほくほくした食感でほどよい甘味と、調理しても色がつきにくいのが特徴。
えび芋と呼ばれるようになったのは、表面の縞模様と、反り返った形が海老に似ているため。
主に子芋を食べますが、親芋、孫芋も食べられます。
旬は11~1月。
4)ずいき用品種
「里芋」の茎の部分。
八つ頭のような茎が赤いものは赤ずいき、赤い茎を軟白栽培したものは白ずいき、蓮芋(はすいも)は青ずいき、と呼ばれます。
シャキシャキした食感で、煮ると味がしみしみに!
旬は6~9月。
また、蓮芋(はすいも)は、ずいき専用品種のため芋はかたくて食用にはなりません。
■「里芋」のぬめりを取りたい時は
さきほど、「里芋」のぬめり成分には、体にとても良いことがいっぱい・・・というお話をしました。
そうした点からは、ぬめりを取らないでそのまま調理するのがおすすめですが、実はぬめりを取り除く大事なメリットもあります。
ぬめりを取ると味が染みやすくなり、渋みやエグみも取れます。
また、ホクホクとした食感も際立ちやすくなりますし、ぬめりを取らずに煮ると煮汁が濁ってしまう原因にも。
ではどうやってぬめりを取るのか、簡単な方法を2つご紹介します。
1)塩もみする
一番簡単なのは、「里芋」の皮を剥いて塩を揉み込む方法。
皮をむいた「里芋」に塩を振り、しばらく揉むと「里芋」に粘り気が出てきます。
「里芋」の粘りが出たら、流水で流せば完了です。
2)下茹でする
普通に茹でるだけでも、ぬめりが取れます。
より高い効果を求める場合は米のとぎ汁(もしくは米ぬか)を使うと、ぬめりもアクも取れて一石二鳥です。
「里芋」に串がすっと通るまで茹でるのがポイント。
この後調理をするので半生状態の茹で加減でも大丈夫・・・かと思いきや、実はしっかり中まで火を通すのが正解です。
半生の下茹で状態から煮物を作ると「里芋」に芯が残る場合があります。
下茹でする時はしっかり茹でましょう。
余談ですが、「里芋」の皮を剥いていて、手がかゆくなってしまった時は手を酢水に手をつけることでかゆみ成分が分解され、かゆみが治まります!
ぜひお試しください。
■「里芋」の保存方法
最後に「里芋」の保存方法をご紹介します。
「里芋」は、寒さと乾燥に弱いので、冷蔵庫に入れるのではなく、冷暗所などに置いていたほうが長く保存できます。
また、湿り気を保つために、ぬらした新聞紙などで包んでおいたほうがいいでしょう。
また、「里芋」の外側が赤くなっていたり、カットしたら中に赤い斑点があったことはありませんか?
これはポリフェノールの一種アントシアニンが酸化しているからです。
時間が経ちすぎた場合に現れます。食べても問題はありませんが、風味が落ちていることが多いので、なるべく早く食べるようにしましょう。
いかがでしたか。
次回は【ほっくり美味しい】第二回:里芋を使った煮物レシピ【万能食材】です。
お楽しみに♪
加藤強さま
コメントありがとうございます!
里芋、美味しいですよね♪私も大好きです!